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■ 事業全体の概要 ■

計画概要

 第3期科学技術基本計画の一部として2006年より開始された『データ統合・解析システム(DIAS)プロジェクト』は、GISやリモートセンシング等の空間情報技術を用いた地球環境の観測データや、その予測シミュレーションモデル、社会経済データなどを効果的に統合し、その情報を外部の研究機関へ提供するためのデータインフラを構築することを目的としている。

 2011年から開始された当研究グループ「DIAS-GRENE環境情報・健康分野」は、国際保健の視点からアジアの発展途上国を対象に、DIASが提供するこれら多様でかつ最新の科学技術・モデルによって構築された地球環境データの活用と、フィールドワーク調査を併用することで、これまでの保健学の研究では解析が不可能であった公衆衛生に関わる事案を分析することを目指している。

 アジアの発展途上国は、近年の急速な経済発展に伴い、大きな環境の変化に直面している。気候変動に伴う暑熱曝露や大気汚染の増加、洪水リスクの増大、或いは土地利用や人口の急激な変化などに伴い、健康問題の顕在化が進んでいる。しかし一方で、途上国ではデータの収集基盤が未熟で、かつデータが存在したとしてもアクセスするまでが容易ではないケースが多い。

 このような状況を打開する一つの新しい有力な方法として、DIASのように地球環境や人、および健康に関する様々なデータを蓄積し、効率的な利用を可能にするシステムが構築され、保健学の分析に用いる試みが開始された。こうした研究は世界的に見ても未だに例が少ない。

 当事業の具体的な研究テーマは、気候変動や社会的な変化(土地利用や人口の変化)によって引き起こされる新たな健康リスクの予測モデルの構築、およびその検証であり、さらにそれらの研究成果を基にした公衆衛生改善の方策の模索である。特に、下記の二つの条件を満たす環境保健課題を対象に研究を行っている。
・局所的に発生している問題だがインパクトが大きく、かつ多地域で観察される
・従来の生物医学・公衆衛生学的アプローチでは解決が困難

三つのSub Groups →詳しくは” Sub Groups”のページへ 

当事業は、下記の三つのSub Groups (SG)に分かれて研究を行っている。

Sub Group1
SGリーダー:渡辺 知保(東京大学)
研究テーマ:
 南アジアの大都市を対象に、暑熱と大気汚染への曝露が人々の健康にどう影響を及ぼすかを調査し、こうした大気環境と健康との間にある関係をモデル化する。現在ではバングラデシュの首都ダッカを研究対象地とし、一日の人の動きを考慮した曝露モデルの構築や、当地におけるヒートアイランドの進行により健康リスクの分布がどう変化してきたか等の調査も行う。
Sub Group2
SGリーダー(2013年10月1日より):石川 智士(総合地球環境学研究所)
前SGリーダー:門司 和彦(総合地球環境学研究所・現長崎大学大学国際健康開発研究科)
研究テーマ:
 ラオスを対象に、住血吸虫症、肝吸虫症、マラリアなどのベクター依存性の感染症の伝播が、気候変動や土地利用の変化とともにどう移り変わり得るかを調査し、モデル化する。また、信頼のおける健康事象データの入手が困難な当地において、健康・人口サベイランスシステム(HDSS)と呼ばれる人間集団を相手にした緻密な健康情報の収集を実施する。
Sub Group3
SGリーダー:福士 謙介(東京大学)
研究テーマ:
 ベトナム、インドネシア、フィリピンを対象に、水系感染症(下痢症)のリスク分布が自然環境および人間環境の変化とともにどう変わるかをモデル化する。特に気候変動などの要因により増大するといわれる洪水リスクの変化が、水系感染症リスクにどう影響を及ぼすかに着目するとともに、様々な感染経路を考慮したモデルを構築する。
 

 各Sub groupは下図に示す形で、DIASから得たインプットデータを用いて研究を進めている。かつ研究のアウトプットとした得られたデータのうち、他プロジェクトでも有効活用できると思われるものは、積極的にDIASに格納し、DIASが持つデータインフラの拡充を図る。

DIASと当研究事業の関係
DIASと当研究事業の関係